きさらづ里山の会
クロモジ部会 里山のフクロウ
クロモジの木 楊枝
クロモジの木は 北海道南端から九州まで自生していると言われています。
クスノキ科に属し、高さ4~5m位まで成長する落葉灌木です。早春に淡黄色の花を付け、葉は黄色に紅葉し、実は9~10月に黒色に熟すとされていますが、当地域では7月上・中旬頃が熟期となります。
クスノキ科、クロモジ属で、①クロモジ ②オオバクロモジ ③ヒメクロモジ ④ケクロモジ ⑤ウスゲクロモジの5分類されています。千葉県では①のクロモジのみが自生しているとのことです。
クロモジの木を知っている方は大変少なく、香木・薬木としても有用性が高いのですが、知られていないのがとても残念です。
「クロモジ」というと「楊枝」のこと、「楊枝」というと「クロモジ」のことを指すと言われていますが、このことを知っている方は どうもご年配で、相当の「通」?だと思います。
現在 楊枝というと、丸くて直径2,3ミリ、長さ6センチ位で、頭部に2~3本の削溝があるもの(コケシ楊枝とも言われる)を思い浮かべる方が圧倒的に多いのではないでしょうか。いわゆる「つま(妻、爪)楊枝」のことで、材質は「白樺」の木です。
しかし クロモジは「爪楊枝」としても使われますが、むしろ「菓子楊枝」として古くから多く使われており、茶道では無くてはならないものです。また和菓子には付き物というイメージですが、洋菓子にも是非使って頂きたいものです。
フォークを使って食べるよりも 古くから使われているクロモジの「菓子楊枝」を使うことで、なんとなく高級感、満足感を味わうことができるのではないでしょうか。お客様へのおもてなしに、きっと喜ばれることでしょう。
一本一本手作りで作られる「クロモジ楊枝」は 使用前に水に浸して使いますと、かすかなクロモジの芳香が楽しめます。お客様への思い入れが伝わります。使用後洗って乾かせば多数回使用できますので、是非使って頂きたいものです。
〈参考文献等〉
・ 「クロモジの生態学」 1976、6 「香料」No115
・ 樹木と木材研究 東京大学名誉教授 平井信二
・ 千葉県立中央博物館 植物研究科 天野誠
・ 「楊枝から世界が見える」 稲葉修著 冬青社
・ 「樹に咲く花」 雌雄弁花① 山渓ハンディ図鑑